赤ちゃんは消化器官が未発達であり、簡単に下痢をしてしまいます。
しかし、元々赤ちゃんの便はゆるめであるため、下痢かどうか分かりにくいと感じる方もいるようです。
この記事では、赤ちゃんの下痢の種類や見分け方と、受診の目安について詳しくまとめました。
赤ちゃんの便がいつもと違うような気がするという方は、ぜひ参考にしてください。
赤ちゃんの下痢の見分け方
赤ちゃんの正常な便の状態は月齢により異なります。
生後2ヶ月頃までの赤ちゃんの便は水っぽく、生後3ヶ月頃から泥状に変化します。
生後半年頃の離乳食を開始した赤ちゃんは食べたものにより便の状態が変化します。
その後、卒乳頃・離乳食が進むと、大人と同じような形の便に変わります。
そのため、1歳未満の赤ちゃんの便は基本的にゆるく、下痢かどうか見分けにくいと感じるでしょう。
赤ちゃんが下痢をしているかどうか見極めるためには、以下のポイントを意識してください。
普段よりも便の回数が多い
赤ちゃんの便の回数が普段より多い時には、下痢をしている可能性が高くなります。
赤ちゃんの排便回数の目安は生後1ヶ月で5回以上・生後2ヶ月〜3ヶ月は2回〜5回ですが、個人差があります。
そのため、上記の目安よりも赤ちゃんの普段の便の回数と比較して、回数が多い時に下痢を疑ってください。
普段よりも便が水っぽい
離乳食をスタートする前の赤ちゃんの便はゆるいですが、いつも以上に水っぽい・おむつの吸収が間に合わないほどな状態の場合は、下痢の可能性があります。
普段の便の状態との違いもチェックしてください。
酸っぱい臭い・腐った臭いがする
便の臭いが普段と違い、酸っぱい・腐ったような臭いになっている場合は、赤ちゃんの腸内細菌に問題が起こっていると考えられます。
いつもと便の臭いが違う時には、何らかの疾患を疑うべきでしょう。
便の色がいつもと違う
赤っぽい・白っぽい・黒っぽい便は何らかの病気が原因である可能性が考えられます。
母子手帳の便色カードを活用して色の状態を確認し、早めに医療機関を受診してください。
ただし、離乳食開始後の赤ちゃんは食べたもののせいで便の色が変わる可能性があります。
その日の離乳食の内容も覚えておきましょう。
赤ちゃんが下痢をする原因とは
赤ちゃんが下痢を起こす代表的な原因には、次のようなものがあります。
原因特定は難しいケースが多いため、症状が強い時には医療機関を受診しましょう。
下痢のみの症状がある場合
熱や嘔吐がなく食欲もあり元気な状態で下痢だけの症状がある場合には、食べ過ぎ・水分の摂りすぎの可能性があります。
赤ちゃんが普段通り機嫌良く過ごせるのなら、病院に行く必要はないでしょう。
ただし、お尻がかぶれやすくなるため、下痢の後はすぐおむつを替えてあげてください。
下痢の状態が1ヶ月以上継続する場合は、医療機関を受診するべきです。
嘔吐と発熱を伴う下痢
下痢だけでなく嘔吐や発熱もある場合には、胃腸炎の可能性があります。
胃腸炎は細菌性とウイルス性の2種類があり、ウイルス性は「お腹の風邪」と呼ばれ、生菌性は「食中毒」に該当します。
赤ちゃんは抵抗力が弱いことから、胃腸炎の疑いがある時には早めに医療機関を受診してください。
食物アレルギーによる下痢
食物アレルギーで下痢が起こるケースも多いです。
特に離乳食をスタートして間もない頃は、便の状態に注意してください。
卵・大豆・乳製品はアレルギーの原因になりやすい食べ物です。
食物アレルギーの疑いがある場合には、小児科・アレルギー科でアレルギー検査をしましょう。
抗生物質など薬の影響
現在服用している薬の影響で赤ちゃんの腸内バランスが変わり、下痢を起こしてしまうケースもあります。
特に抗生物質は下痢になりやすい薬の一つです。
あまりに下痢がひどい場合には、薬の処方を受けた病院に相談してください。
症状別の受診タイミング目安
初めて赤ちゃんが下痢をした時は慌ててしまうものですが、症状別の受診の目安を知っておきましょう。
緊急性が高い状態でなければ、しばらく様子を見てから受診を検討すると良いです。
緊急性が高い下痢の症状
次のような症状がある場合には、可能な限り早く医療機関を受診します。
タイミングによっては、夜間や休日対応の医療機関を探してください。
- 機嫌が悪く水分も受け付けない
- ぐったりしている
- 6時間以上尿が出ない
- 下痢の便の量が多い
- 便の色が白っぽい
- 唇や口の中が乾燥している
- 便に血が混じっている
- 激しい複数を訴えている
- 便の色が黒っぽく粘度も高い
- 繰り返し嘔吐している
受診の前には便の状態をスマートフォンで撮影しておく・嘔吐や便の回数を数えておくと良いでしょう。
救急車を呼ぶべき重篤な症状
次のような症状がある場合は、救急車を呼んで緊急の受診が必要です。
- 意識が朦朧としている
- 意識がない
- 大量の吐血・血便
- 41度以上の発熱
- 皮膚や唇が紫色になっている
- 呼吸が弱い
- お腹がパンパンに膨らんでいる
救急車が到着したらすぐに搬送できるように、母子手帳・健康保険証・乳児医療証・お金・赤ちゃんの着替え・おむつを用意しておいてください。
赤ちゃんが下痢をしている時の対応について
赤ちゃんが下痢をしている時には、次のような対応を心がけてください。
誤った対応により、下痢が悪化してしまう恐れがあります。
赤ちゃんが下痢をしている時のミルクや母乳
赤ちゃんが下痢をしている時には、いつも通りの回数・頻度でミルク・母乳を与えます。
ただし、ミルクを含む乳製品の飲ませ過ぎには注意してください。
下痢をしている時には乳糖を分解する力が弱くなり、二次性乳糖不耐症になるリスクが高くなります。
母乳は赤ちゃんが飲みたがる分だけあげて良いです。
赤ちゃんが下痢をしている時の離乳食
離乳食初期〜中期のタイミングで赤ちゃんが下痢をした場合は、しばらく離乳食をお休みして胃腸を休ませてあげましょう。
離乳食後期以降の赤ちゃんは、離乳食を1段階前に戻して用意すると良いです。
下痢の時に食べて良いもの・避けるべきものは、以下を参考にしてください。
下痢の時におすすめの離乳食
- おかゆ
- 野菜スープ
- 豆腐
- 卵
- すりおろしたにんじんやりんご
- かぼちゃやじゃがいもなどの煮物
下痢の時は避けるべき離乳食
- 冷えた食べ物
- 柑橘類
- 脂肪が多い肉や魚
- 糖分が多い食べ物(プリン・カステラなど)
- 脂質が多い食べ物(マーガリン・チーズなど)
- 乳製品(牛乳・ヨーグルト・チーズなど)
また、下痢の症状があり赤ちゃんが離乳食を食べたがらない時には、無理に食べさせなくて良いです。
下痢により多くの水分が体から失われているため、積極的に水分を補給できるようにしましょう。
赤ちゃんが下痢をしている時のおむつ替え
下痢は肌への刺激が強いことから、お尻がかぶれてしまう問題を防ぐために、こまめにおむつ替えをします。
下痢を拭き取るだけでなく、シャワーでお尻を洗い流してあげると、より肌のダメージを少なくできるでしょう。
お尻がかぶれてしまった時には自己判断で市販薬を購入するのではなく、病院を受診してください。
また、下痢にはウイルスや細菌が含まれている可能性があるため、おむつ替えの後はよく手を洗わなければいけません。
赤ちゃんが下痢をしている時のお風呂
入浴は体力を消耗するため、下痢の間はシャワーのみで済ませると良いです。
お風呂の湯船に入るのは、症状が緩和してからにしましょう。
ただし、ウイルスや細菌性の下痢の可能性がある場合には、同じお湯に家族が入ってはいけません。
残り湯の活用やバスタオルの共有も避け、赤ちゃんの入浴に使ったものは塩素系の漂白剤で消毒します。
十分な対応をしなければ、家庭内感染が起こってしまうのです。
下痢の後に起こりやすい病気に注意
下痢により乳糖を分解する酵素が減ってしまい、本来の下痢の原因から回復してからも下痢が続く「一過性乳糖不耐症」にかかる可能性があります。
一過性乳糖不耐症になると、下痢が慢性化してしまいます。
その他の症状は落ち着いたのに下痢が続くという場合には、乳糖の入っていない乳糖フリーミルクを使ったり、チーズや牛乳などの乳製品を控えたりしてください。
それでも下痢が続く時は、医師に相談してみましょう。
まとめ
赤ちゃんは消化器官が未熟であり、下痢が起こりやすいです。
さらに離乳食開始前の赤ちゃんはもとから便がゆるいため、下痢の判断が難しいと感じる方もいるでしょう。
この記事を参考に、下痢の判断基準を把握しておけば、いざという時に慌てずに済みます。
また、下痢の原因が明らかにならないまま長期間症状が続く場合は、下痢以外の症状がなく元気な赤ちゃんでも医療機関を受診するべきです。